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-Q-「質量」と「重量(重さ)」って違うものなの?
*写真はキログラム原器(レプリカ) 産業技術総合研究所蔵
-A-はい.違います.
例えば,人間が月に行くと体重が1/6になります.これは「重量」が変化したことになります.(重量=重さです) しかし重量が変化しても人間そのものは変化するわけではありません.「質量」は変化しないのです.
つまり質量とは「その物体に重力を生じさせる元である」と言えます.
そして重量とは質量に比例して働く力のことです.その比例定数は宇宙的に考えれば場所によって違いますが,地球上ではどこでもほぼ一定です.
1kgの質量を持つ物体には地球上では9.8N(ニュートン)の重力がかかります.この9.8Nのことを1kgf(キログラム重)と言います.このとき,kg(キログラム)とkgf(キログラム重)が数字の上では等しくなるので質量と重量が混同される要因となっています.
ちなみに質量には「慣性質量」と「重力質量」という2種類があります.
慣性質量はニュートンの運動方程式から定義されます.すなわち
F:力 a:加速度
です.
重力質量はニュートンの万有引力の法則
F:万有引力 G:万有引力定数 r:m1とm2の距離
に現れるm1やm2のことです.
慣性質量と重力質量は等しい値になります.これを「等価原理」と言います.
*ちなみに1kgとはSI単位のひとつで「国際キログラム原器(プラチナ白金90%,イリジウム10%の合金)の質量」と定義されています.国際キログラム原器はフランスの国際度量衡局に厳重保管されており,日本ではその複製が産業技術総合研究所に保管されています.